「飲む日焼け止めは科学的根拠が乏しい。」
アメリカ皮膚科学会・アメリカ食品医薬品局ともに警告発令
夏前になると「飲む日焼け止め」が話題になりますね。
前々から気になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
科学的な観点から申しますと、「飲む日焼け止め」は「塗る日焼け止め」の代わりにはなりません。
日焼け止めは飲んでも、ちゃんと塗りましょう☆
それでは、
その根拠をご説明します!
「飲む日焼け止め」の成分
飲む日焼け止めの有効成分として有名なのは
- フェーンブロック
- ニュートロックスサン
です。
「フェーンブロック」とはダイオウウラボシというシダ植物のエキスです。「ニュートロックスサン」とはシトラスとローズマリーのエキスです。
これら2つの成分は「国家機関が効果を認めた成分」などと謳われ、日本では未だに売られています。しかし、国家機関が何を認めたのかを知っている方は殆どいません。
「飲む日焼け止め」の効果のエビデンス
■フェーンブロックの効果
20人のボランティアに毎日フェーンブロックを1000mg飲んでもらい、日焼けで肌が赤くなった紫外線量を計測しました。
つまり、数字が大きければ「たくさん紫外線を浴びても日焼けしない」ということになります。
となりました。
つまり、一見して見ると「飲んだ方が日焼けしない」と言えそうな気がしますね。
情報の参照元はこちら
■ニュートロックスサンの効果
ボランティア10人に対してニュートロックスサンを毎日250mg飲んでもらいました。同じように日焼けで肌が赤くなった紫外線量を計測しました。
その結果、
つまり、こちらも一見して見ると「飲んだ方が日焼けしない」と言えそうな気がしますね。
ニュートロックスサンの販売会社は、この資料を引用して「ニュートロックスサンによって56%の紫外線がカットされた」といった宣伝をしています。
情報の参照元はこちら
データから見える現実。
飲む日焼け止めの効果を“SPF”に換算してみよう!
さきほどのデータを見ると「紫外線56%もカットするのかすごい!」と思えちゃいますね。。
それでは、先ほどの試験結果を、皆さんお馴染みの“SPF”で考えてみましょう。
まずは簡単にSPFの考え方をお伝えします。
たとえば「SPF2」の日焼け止めを塗ると、塗った瞬間から「日焼けする紫外線量」は1→2になります。
つまりSPF2の日焼け止めを塗ると、何も塗っていないときより2倍の紫外線を浴びても日焼けしない。と言えるわけですね。
では、先ほどの「飲む日焼け止め」の結果を改めて見てみましょう。
でしたね。
もう察してしまった方もいらっしゃるかもしれませんね。。
飲む日焼け止めは「SPF 0.007」ほど。ほぼ無力です。
フェーンブロックは29日で1から1.2037ということは「1日あたり0.007増える」ということ。つまり、SPFにすると0.007です。凄く低いですね。
ニュートロックスサンにいたっては、85日で1から1.56になるということは「1日あたり0.0066増える」ということですね。つまりSPF0.0066です。
かなり低いですね。。
たとえ365日飲み続けても、フェーンブロックはSPF2.56(=0.007×365)になる程度です。ニュートロックスサンはSPF2.19(0.006×365)になる程度です。
もちろん人間は代謝しますので、1年間飲み続けてSPF2.55にはなりません。効果はすぐに頭打ちになります。毎日飲み続けても期待した効果は得られないと考えて差し支えないでしょう。
アメリカ皮膚科学会が「飲む日焼け止め」に警告を出す
米国皮膚科学会の会長さんが、
「経口サプリメントだけで太陽の有害な紫外線から適切なレベルの保護を提供できるという科学的証拠はありません」
と言っています。
次いで、アメリカ食品医薬品局も警告を出す
FDAも、
「飲む日焼け止めの紫外線防止効果に科学的な根拠が乏しいにも関わらず、日焼けを防止すると宣伝し、消費者を危険にさらしている」
と発表し、
飲む日焼け止めを販売している4つのブランドに対して、警告文を送りました。
法律はいつの時代も不完全。どうしても「過激なキャッチコピー」が出回ってしまうのが現実。
「飲む日焼け止め」に関する誇大広告・虚偽広告が非常に多いです。しかし、個人的な見解ですが、日本での法整備はまだ先になると思います。
そして、法律はいつの時代も不完全です。
そんな世の中に私たちは生きています。
時代や政治の改変を待っているだけでは、なかなか身が持ちませんね。。
また、科学者は人類の発展のために、昨日までにない新しい技術を生み、実験し、その進捗と結果を脚色せずに発表します。
しかし、そのデータを都合よく切り取って、エビデンスがあるように見せて、消費者に過度な期待をさせてモノを売る業者が後を絶ちません。
科学技術の発展の陰には、必ず“すぐ儲けようとする人たち”が出てきます。
悔しいですが、これも事実です。
dbdirの見解
「飲む日焼け止めは飲んだ方が良いですか?」のご相談には「飲んでも構いませんが、塗るだけでも大丈夫ですよ」とお答えしています。
また、日焼け防止としての意味は殆どないですが、抗酸化成分が入っているので、“事実を知っていて飲まれている方”もいらっしゃいます。
なので、“飲まないでください”とは言いませんが、日焼け止めの代わりにはなりません。